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『赤ちゃん教育』

ものすごく面白い本を読んだ。フランス文学者で、東大で教えている野崎歓という人の『赤ちゃん教育』。遅くしてできたお子さんについて書いていて、あふれる文学的エッセンスとともに、筆者の親バカぶりを存分に楽しめる。


その面白さといったら!電車の通勤時間があっという間に過ぎていき、続編はないかなあと思うくらい。一気に野崎さんのファンになった。


以下に、ちょっとだけ紹介しておきます。
日曜日のデパート、玩具売り場。例の蒸気機関車の玩具を並べたデモンストレーション・コーナーには、眼光にぶい父親たちが立ちつくしている。卓上のミニチュアレールに載った機関車や貨車にむらがっているのは、みごとなまでに男の子ばかり。そのなかでもやっぱりわが子が他を圧して愛らしいなあと、自分でも途方もなく間抜けであると思わざるを得ない感慨を抱きながら、ほんやりと見守る父親。

するとその愛らしい子を突き飛ばすようにして、彼が手に握っていたゴードンを奪い取る年上の男児が出現したではないか。見れば憎々しげな下ぶくれの悪相、しかも白ワイシャツに蝶ネクタイなどというまるで七五三のような没趣味な格好(いや、今日は七五三なのだった)。その瞬間、下ぶくれの子に対する憤怒が驚くほどの勢いで噴出しようとするのを覚える。このしつけのなっていない子に思い切り礼儀を教えてやりたいものだ。必要ならば多少のチョウチャク(原文は漢字)を加えたっていい。そんな考えが一瞬、はっきりとその阿呆な父親の頭をよぎったのである。恐ろしいことだ。

そして彼はそっと周囲を見回す。下ぶくれの顔をした父親はいない。いずれもがちょっと途方に暮れたような、やや疲れた表情で突っ立っている。悪童は相変わらずわがままな振る舞いをやめない。おっとりと鷹揚な物腰でそれに対処し、何らことを構えようとしないわが子の気高さに心底打たれた父親は、突如幼児を抱きかかえていい子、いい子と囁きながら、商品をつかんでレジに急ぐ。幼児はゴードンを一台得たのだ。

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子どもが反抗期だからですよ。2歳になると自己主張がはげしくなって、手におえなくなります。ききわけがないですから。本当です。
 デパートなんかでみかけるのは、親は早く食事に行きたいのに子どもはいつまでもおもちゃ売り場から離れようとしない。それでうんざりする。といったパターンです。こころにゆとりがないと、なかには煮詰まってしまう親もいるでしょうね。
 子育ては自分とのたたかいですよね。

広岡先生、こんばんは。
そういうお父さん、なんで表情がクラっぽいんでしょうねえ?いつも疲れていて、お子さんが自分で遊んでいるときに脱力しているからでしょうか……。

います、います。
 デパートのおもちゃ売り場にはそんな父親がわんさかいます。母親もいます。このあいだ孫を連れていって目撃しました。
 特徴はふたつ。ひとつはわが子だけしか見ていないこと。たいへん視野が狭くなっているんですね。きっと足下のカバンを盗られても気がつかないでしょう。
 もうひとつは、それでいて表情が案外暗いこと。疲れたような、憮然たる表情です。押し黙っている親が少なくない。子どもが可愛くないのかなと感じることも少なくないですよ。
 以上は現役の父親母親には、わからないことではないですかね。
 まあたいへんなんですよ。2歳から4歳の子どもは。反抗期ですからね。
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Author:ぼちぼち筆者
好きな本は「赤毛のアン」「精霊の守人」「西の魔女が死んだ」などなど。新しいkindred spiritsと出会えるのを楽しみにしています。

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