男は女は

JanJanのコラムに、「新米ダウン症児パパの子育て日記」というコラムがある。私はこのシリーズが好きだ。筆者の暖かいまなざしが伝わってきて、実のある、中味の濃い時間を送られていることがよくわかる。


でも、前回の「育休体験記:男性が取得する」の中には、少々違和感を覚える記述があった。それは「男性にとって、育児関連の制度活用には、さまざまな心理的ハードルが存在する」というくだり。
筆者によると、男性は育休をとる際にいろいろ思い悩むらしい。

(1)同僚に迷惑をかけるのではないか
(2)上司が嫌な顔をするのではないか
(3)昇進やその後のキャリアに悪い影響が出るのではないか
(4)生活費に困るのではないか
(5)育児をしている姿は少し恥ずかしい
(6)ずっと家に居るなんて退屈で我慢できない
(7)社会の流れから取り残される、などなど。

そして「かなり強い信念を持った人か、3度の飯より子どもが好きという人でもない限り、これらのハードルを越えるのは難しい」とある。これを読んだとき、なんだかちょっとガッカリした。「ブルータス、お前もか」の心境である。

こんなの、女性だって当然思うことなんだもの。男だけが特別なわけじゃない。仕事をしている女性であれば、産休も含めて長期で休んで職場に迷惑をかけるだろうとか、自分が働かなくても家計は大丈夫だろうかとか、このまま家庭に埋もれるのだろうかとか、そんなことは当然のように思う。だから「男性にとって」という前書きがついている限り、「あなたもそんなふうに(育休は女性がとるものと)思うの?」と思うわけである。

さらに言えば、働く女性には、妊娠中からもっと心理的な負担がある。

たとえば、会社が忙しい時期に残業をしないで帰ること。露骨に嫌な顔をされる職場は言語道断だとしても、理解のある職場であっても、一生懸命働いている同僚を残して1人先に帰るのは、同じ職場で働いている者として気が引ける。私の職場ではもちろん、同僚は誰も「たまには遅くまで残れよ」と思ってはいない(と思う(笑))。それでもがんばっている人たちの姿を見ると、申し訳ないな、という気持ちになるのだ。

男性は妊娠しないから、こんなことは思わない。ただ妻に「気をつけて早く帰れよ」と言って自分ががんばればいいだけである。妊娠している女性は、がんばりたいと思ってもがんばれない。お腹の子を守るのは自分しかいないとわかっているから、たとえ申し訳なく思っても早く帰るのだ。他に誰がお腹の子のために休んでくれるわけではないから。

残業じゃなくて、普段の勤務だって同様のことが言える。業務時間中に妊娠検診の時間を確保することは法律で認められてはいるものの、会社を休まざるをえないようなときは、やっぱり気が引けるものなのだ。べつに「やっほ~~い。今日休み~」と思っているわけではない。

安全に子どもを産んで健やかに育てたいという気持ちと、会社の仲間たちに迷惑をかけたくないという思いとの間で、働く女性は出産前からずっと、いつもギリギリのところを選択している。決して当然のこととして権利を行使しているわけではない。思い悩むのは、男性だけではないのだよ。

…もちろん、女性が気づかない男性の辛さというのもあると思う。たとえば妊娠を代わってやることができないから、辛そうにしている妻を見るのがしのびない、とか。(奇特な人だと思う。)

まあつまるところ、これまで私も何度も「女性は」って書いててなんだけど、男性は、とか、女性のほうが、というんじゃなくて、こういうのは多分、個人の思いが強いんだろうなあ。

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好きな本は「赤毛のアン」「精霊の守人」「西の魔女が死んだ」などなど。新しいkindred spiritsと出会えるのを楽しみにしています。

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